論文

公開件数: 34 件
No. 掲載種別 単著・共著区分 タイトル 著者 誌名 出版者 巻号頁 出版日 ISSN DOI URL 概要
1 研究論文(学術雑誌)
単著
A Hitherto Unidentified Middle English Translation of “Les Quatre Requêtes de Notre-Dame à Jésus”
田口まゆみ
Notes & Queries

62/ 3, 364-372
2015/09



ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ、サミュエル・ピープス図書館所蔵、写本2125およびケンブリッジ大学図書館、写本 Ff.vi.33 に収録されているイエスと聖母の短い会話は、最後の晩餐の前日、聖母から死を目前にしたイエスへの4つの嘆願を扱っている。本稿は、その原典についての情報が誤りであり、偽ボナヴェンチュラ作『キリストの生涯の黙想』に影響を受けた仏語贋作『イザベル王妃のために書かれた受難物語』(通称)のうち「聖母の4つの願い」と呼ばれる部分の訳であることを明らかにした上で、仏語原典とラテン語原材、また英訳との差異について文献学的に解説し、さらに本作品に表れているマリア信仰の特徴を分析した。
2 研究論文(学術雑誌)
単著
“Imitating Christ as a Meme”

Postmedieval: a journal of medieval cultural studies, 3.3, “Cognitive Alterities/ Neuromedievalism”

3/ 3, 315-327
2012/09



中世後期ヨーロッパでは、特にキリストの生涯について、言わば映像化するように現実的な想像をし、その想像世界に自分自身も置いてキリストと聖母と場面を共有し、共感するという「参加型情動的黙想 (participatory affective meditation)」が神秘主義者の間で過激化したのみならず、一般信徒にも広く流行した。この方法は一般信徒が私的な空間で実行することができたので、信仰、そして精神の自立につながり、近代における自我の形成に役立ったと言われている。本稿は「キリストを真似る」というトポスに代表されるこの自己完成型の内省的な信仰形式が流行した理由を、近年の脳神経科学理論(特にアントニオ・ダマシオの心身の連携的相互作用理論、リチャード・ド―キンスのミーム理論、ミラー・ニューロン理論)を援用して説明しようと試みたものである。
3 研究論文(学術雑誌)
単著
"A Middle English Penitential Treatise on Job 10:20-22: Dimitte me, domine ..."

Mediaeval Studies
Pontifical Institute of Mediaeval Studies, University of Toronto
67, 157-217
2005



ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ、サミュエル・ピープス図書館蔵写本2125に収録されている宗教文献の学術的校訂版である。写本の説明・分析、作品のスタイル、典拠、作者・読者等についてのイントロダクションと注釈・語注を付した。
掲載誌Mediaeval StudiesはToronto大学Pontifical Instituteの出す学術雑誌であるが、学術校訂論文はラテン語文献に限られていた。本稿は初めてMedieaeval Studiesが掲載した英語文献の本文校訂論文である。
本テキストを収めたCambridge大学、Magdalene College、ピープス図書館写本2125は50編以上の宗教文献で構成されているが、14世紀末から1世紀以上を掛けて完成した。他の写本で発見されていないテキストや特殊なヴァージョンが多く、本作品も他写本に見つかっていない。
4 研究論文(学術雑誌)
単著
Cleanness and a Hitherto Unedited Religious Text in MS Pepys 2125

Reading Medieval Studies

24, 95-112
1998



1215年のラテラノ公会議で万人に年1回の告解が義務づけられたのをきっかけに、全ヨーロッパ的に民衆とその教化にあたるべき教会関係者の大々的な教育が行われ、多くの宗教文献が書かれた。本稿では、文学作品との比較により、これに固有と思われてきた複数のモチーフや比喩が実は一般信徒を対照として書かれた宗教文献に見出されることを指摘し、文学研究においてもその土壌となった文化的背景を正しく知ることが重要であることを述べた。
5 研究論文(学術雑誌)
単著
The Legend of the Cross before Christ : Another Prose Treatment in Engligh and Anglo-Norman

Poetica

45, 15-61
1996



楽園を追われたアダムは臨終の際に、憐れみの油として、禁断の木の実の種を受け取る。アダムの死骸の口に入れられた種は成長を続け、モーゼ、ダビデを経て終にはキリストが掛けられた十字架になった。原罪の直接的原因が後にキリストによる贖罪の道具となったとするこの逸話は、中世欧州全域にラテン語で広まった。新しく中世英語版を発見した著者は、これを校訂してその原本となったアングロ・ノルマン語版とラテン語版とパラレルに示し比較した。
6 (MISC)その他記事
単著
Paul Strohm, Oxford Twenty-First Century Approaches to Literature: Middle English
田口まゆみ
Studies in Medieval English Language and Literature

23, 77-84
2008



Paul Strohm, Oxford Twenty-First Century Approaches to Literature: Middle Englishの書評
7 (MISC)総説・解説(大学・研究所紀要)
単著
中世末期英語宗教的写本文献について:MS Pepys 2125 item3「悔い改めについて」を中心に

大阪産業大学論集 人文科学編

107, 1-22
2002/06



1215年の第4回ラテラノ公会議で、全信徒に対し、最低年一回の口頭での告解が義務付けられたのを受け、全ヨーロッパ的に、罪とは何かという基本的な事項に始まり、悔悛の秘蹟を授ける、また受けるためのマニュアル的書物が大量に生産された。民間の識字率の向上とともに、写本の対象読者も多様性を帯びていくが、いずれの場合も、上記のような基本的宗教的文献を含むコンピレーションである。本稿では、MS Pepys 2125のコンピレーションとしての特性を論じつつ、そのうち特にitem3「悔い改めについて」を取り上げ、その特性と読者について考察を加えた。
8 (MISC)総説・解説(大学・研究所紀要)
単著
十字架伝説一英語、アングロ・ノルマン語、ラテン語版を比較して-

大阪産業大学論集 人文科学編第89号

89, 17-28
1996/05



キリストの磔刑に使われた木を原罪をもたらした木とつなげる十字架伝説は、多くの聖人伝などと共に中世ヨーロッパ全域で広く愛され、ラテン語で流布した他、各国言語に翻訳され、転写が繰り返された。中世英国においては、ラテン語版の他に、フランス語版と英語版があり、英語版の存在は読者、聴衆の層の広さを示している。翻訳・転写が繰り返される過程で当然テキストの異同が生じ、多くのヴァージョンが生まれたが、本稿では、直系でつながる英・仏・ラテン版を詳細に比較し、その違いに現れた聴衆の差違を考察した。
9 (MISC)その他記事
単著
ニコラス・ラヴ『イエス・キリストの尊い生涯の鏡」:水曜日 第十九章ー第二十四章

大阪産業大学論集 人文科学編

116, 279-93
2005/06




10 (MISC)その他記事
単著
ニコラス・ラヴ『イエス・キリストの尊い生涯の鏡」:水曜日 第十五章ー第二十三章

大阪産業大学論集 人文科学編

115, 109-28
2005/02




11 (MISC)その他記事
単著
ニコラス・ラヴ『イエス・キリストの尊い生涯の鏡」:火曜日 第十章ー第十四章

大阪産業大学論集 人文科学編

114, 135-61
2004/10




12 (MISC)その他記事

ニコラス・ラヴ『イエス・キリストの尊い生涯の鏡」:月曜日 第五章ー第九章

大阪産業大学論集 人文科学編

113, 201-217
2004/06




13 (MISC)その他記事

ニコラス・ラヴ『イエス・キリストの尊い生涯の鏡」:前書き・月曜日 第一章ー第四章

大阪産業大学論集 人文科学編

112, 95-118
2004/02



The first translation of Nicholas Love's Mirror of the Blessed Life of Jesus Christ
14 研究論文(学術雑誌)
単著
Morgan la Fayの役割-Sir Gawain and the Green Knight(/)--再考

Studies in Medieval English Language and Literture

3, 85-99
1988



Sir Gawain and the Green Knightは作者不詳であるものの、チョーサー、ラングランドの作品と並び称される14世紀英文学屈指の名作である。主人公ガウェインが緑の騎士を探す旅に出た先で滞在する城で、美しい城主夫人と並んで宴席に登場する醜い老婆がいる。Morgan la Fayという魔術を使う老婆で、この場面で一度だけ登場すると思いこまれがちであるが、実は城で展開する場面にいつも居て、物語の中で重要な役割を果たしているということをテキストに沿って証明し、その意味について、当時の文化的背景に照らし、考察した。
15 (MISC)総説・解説(大学・研究所紀要)
単著
Easter Sermon in MS Pepys 2125

大阪産業大学論集 人文科学編

101, 1-14
2000



ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ蔵、写本Pepys2125に収録された作品のうち、50番「復活祭の説教」(Easter Sermon) を写本から転写し、校訂したものである。この説教論文は、大英図書館蔵、写本Harley2398写本に類似のコピーが現存する他断片で2つの写本に残っていることから、当時はかなり流布していたと想像される。聖餐の秘跡を神の晩餐とし、マタイ伝の婚宴のたとえ話(22:1-14)に絡めて、その際に身につける衣服の清浄と品格を、「信仰」の比喩として展開している。
16 研究論文(大学,研究機関紀要)
単著
未刊行の写本テキストを読む意義

大阪産業大学論集 人文科学編

98, 27-46
1999



現在に伝わっている中世古写本の性質、内容について紹介し、その上で未だに一般研究者にはアクセスの乏しい状況で残っているマイナーな文献に関し、特に宗教文献が当時の民衆の精神史を反映していること、あるいは大衆の精神文化を作り上げていたことを示しているということを論じた。キリスト教に色濃く染まっていた中世についてのいかなる研究も、こうした民衆レベルの教化運動を伝えるマイナーな宗教文献を軽視してはならないと言える。
17 (MISC)その他記事
単著
Hanna, Ralph, (]G003[), ┣DBPursuing History : Middle English Manuscripts and Their Texts(/)-┫DB
(書評)

Studies in Medieval English Language and Literature
(日本中世英語英文学会)

14, 139-46
1999




18 (MISC)総説・解説(大学・研究所紀要)
単著
Theme and Structure in the Middle English ┣DBCleanness(/)-┫DB

大阪産業大学論集 人文科学編

87, 1-16
1996



Gawain詩人による宗教詩『清純』(Cleanness)は、たくさんの物語、エピソードから構成されているが、その組み合わせ、展開の必然性が明白でなく、主題との関連も希薄であると批判されてきた。本稿ではそのような一般的見解に対し、一見散漫な物語群が実は一貫した主題のもとに緻密に組み立てられており、あたかも1個の建築物の骨組みを組むように構成されていること、しかも、円環、ジグザグなど視覚的な骨組みを追求していることを論じた。
19 研究論文(学術雑誌)
単著
Cleanness and a Hitherto Unedited Religious Text in MS Pepys 2125

Reading Medieval Studies

24, 95-112
1998




20 (MISC)総説・解説(大学・研究所紀要)
単著
An Unpublished Text of the Legend of the Cross before Christ in MS Pepys 2125

Journal of Osaka Sangyo University, Humanities
大阪産業大学論集 人文科学編

95, 9-26
1998



中世古写本の中には、校訂・印刷されないままに残っている文献がまだ多数ある。そうしたマイナーな文献がこれまで看過されてきた理由、そして歴史、社会、文学研究において今後果たしうる可能性について、ケンブリッジ大学、モードリン・コレッジ蔵、写本Pepys2125に収録された「十字架伝説」を素材にして論じた。まず「十字架伝説」の内容と系譜について解説し、Pepys版と同系譜の異本との比較し、また、同写本を用いて、当時の英語の多様性についてデータを示して論じてゆく中、こうしたマイナーな文献から明らかになる様々な背景事項があることを示した。
21 (MISC)総説・解説(大学・研究所紀要)
単著
A Rerinterpretation of Some Difficult Passages in the Middle English Poem ┣DBCleanness(/)-┫DB

大阪産業大学論集 人文科学編

82, 79-91
1994



中世英詩『清純』(1993)の校訂版への補遺として、特に、解釈上難解な語や文、複数の研究者の間で解釈が異なっている個所、写本の読みについて意見が一致していない個所等について、編者の見解をはっきり表すべく、その根拠とともに示し、詳しく述べている。一例をあげると、’gere (gear)’ (l. 16) について、従来のaffairsに対しclothesという解釈を示している。理由として、この語の前後に衣服の汚れと罪を関連付ける象徴が使われていること、さらに衣服の象徴は物語を通して重要な役割を果たしているので、この解釈を採用することにより物語の円環構造が教化されることを述べている。
22 (MISC)その他記事
単著
"「広き門」:煉獄がつなぐ天国への道:Takami Matsuda: Death and Purgatory in Middle English Didactic Poetry, D.S. Brewer, 1997"

英語青年


1998/05




23 (MISC)総説・解説(大学・研究所紀要)
単著
Theatrical Effect in Miranda Miller's ┣DBSmiles and the Millennium(/)-┫DB

大阪産業大学論集 人文科学編

84, 31-40
1995



社会派英国女流作家Miranda Miller(1950~)の作品、 Smiles and the Millenniumについて、主題の解釈に加え、ストーリーの手法の分析を行った。ミラーの手法は、余分な背景を削ぎ落とした、一貫した描写のsimplicityとeconomy にあると言える。特に、舞台の場面転換に似たエピソード展開、舞台道具を想起させる背景描写、主人公を含む登場人物が発話内容によって区別されること、季節や時間が希薄であることなどの手法に着目し、この作品の演劇との類似を指摘し、その効果と主題との関連について論じた。
24 (MISC)総説・解説(大学・研究所紀要)
単著
In a Lingustic Dystopia : 'Newspeak' and George Orwell's 'Good English'

大阪産業大学論集 人文科学編

83, 61-64
1994



名文家として名高いジョージ・オーウェルは、言語について明確な論理・主張を持っており、これを扱ったエッセイもある。一方、彼の代表作『1984年』の中で、人民のマインドコントロールの道具として描かれている新言語‘Newspeak’も彼の言語意識の現れである。オーウェルは、‘Newspeak’によって、この新言語の象徴する思想の弾圧、強制を批判しているわけだが、皮肉にも、この新言語‘Newspeak’が、本質的に、オーウェルが理想とする言語思想を投影している点を指摘している。
25 (MISC)その他記事
単著
『清純』Ⅲ

大阪産業大学論集 人文科学編70


1990/09



 中世英語による長詩Cleannessの註釈および翻訳の第三部である。(一部、二部はそれぞれ産大論集・人文科学編68、69号に記載)  既刊の各エディションのテキスト、註釈、語彙集を照合し、写本のマイクロコピーに基づいたものであり、今回で完結のため、末尾に重要文献集を付した。
26 (MISC)その他記事

『清純』ⅠおよびⅡ

大阪産業大学論集人文科学編68・69号


1990/02



 本稿はCleannessあるいはPurityと呼ばれる14世紀末の英詩を3部に分けて訳出してたもののⅠ部とⅡ部である。(Ⅲ部は70号に掲載)本詩には写本が1本しか残っていないが、その写本のマイクロコピーを定本とし、Ⅱ部では既刊の全註釈書を照合した上で、詳しい註をつけた。訳は、口承文芸であることから、新しい文体による平易な文章を心がけ、註は、テキストワークに関するもの、レファランスとして重要なものを中心としている。
27 研究論文(大学,研究機関紀要)
単著
Pentangleの謎をめぐって-┣DBSir Gawain and the Green Knight(/)-┫DB試論-

英語英米文学論集 (奈良女子大学英語英米文学会)

8, 19-29
1982



『ガウィン卿と緑の騎士』の象徴的意味を探った論考である。本稿では特に主人公ガウェインの紋章に焦点を当て、「誠実」の徳を5の5乗の特質で表すというPentangle(五線星型)謎に秘められた宗教的意味の解釈を試みた。Pentangleという語形は『ガウェイン』以前に用いられた記録がない。それは当時この物語を聞いた人々耳にも新鮮に響いたに違いない。詩人は和えて脱線するようなポーズを取りつつ、かなりの分量を割いてガウェインと彼の紋章の関係を説明している。その一節が『ガウェイン』の写本に9つしかない装飾文字で始まっているところからもこの脱線が重要な意味を担っていることは想像に難くない。本稿はその一節を詳細に読み解くことでガウェインの紋章と作品のテーマとの関連を論じている。
28 研究論文(大学,研究機関紀要)
単著
Some Problems of Milton's God--A Thought on ┣DBParadise Lost(/)-┫DB

英語英米文学論集奈良女子大学英語英米文学会

5, 13-22
1979



ジョン・ミルトンの『失楽園』(Paradise Lost)はアダムとイヴの楽園喪失を題材とした叙事詩であるが、この中では悪魔が魅力的に描かれているため、ミルトンの神は邪悪な神であると評されてきた。その評価の根拠をテキストに即して考察し、清教徒革命の中心的担い手の一人であったミルトンのキリスト教者としての超時代性、宗教的ジレンマについて論じている。
29 研究論文(大学,研究機関紀要)
単著
『ガウィン卿と緑の騎士』における象徴性と宗教性

Osaka Literay Review(大阪大学英文学談話会)

20, 64-74
1981



『真珠』(Pearl)、『清純』(Cleanness)、『忍耐』(Patience)および頭韻詩『ガウィン卿と緑の騎士』を同一詩人による作とする見方は一般的受け入れられているものの、確証はされていない。この問題を考える際、『ガウェイン』がロマンスとして卓越した完成度を誇る作品であるのに対し、他の3作が明らかに教訓的意図をもって作られたものであり、詩人の宗教観を明白に打ち出しているところに疑惑の一つの根拠があるようだ。この試論では、『ガウェイン』内包する宗教性が他の3作の共通主題につながることを、『ガウェイン』に見られる象徴を読み解くことで証明しようとしたものである。
30 (MISC)その他記事
単著
Paul Strohm, Oxford Twenty-First Century Approaches to Literature: Middle English (書評)

Studies in Medieval English Language and Literature

No. 23/ pp. 77-84
2008



編者Paul Strohmは、これまで顧みられなかった作品にも光をあて、未開拓の、あるいは議論が熟していない領域に踏み込むことを目的とし、執筆陣もあえて斬新で自由な発想を持つ研究者を集めた。研究対象、批評理論、研究者のオーソリティ、キャノンの問題点や限界に切り込みを入れる大胆さ、新しい視点、新進の研究者を起用する柔軟な姿勢が全編を貫いている。全編を通じて様々なアングルから繰り返される主張の大前提は写本であり、中世文化の「流動性」である。
31 (MISC)その他記事
単著
『マージェリー・ケンプ:黙想の旅』, 久木田直江著, 慶應義塾大学出版会, 2003

『英語青年』 研究社

pp. 762-63
2004/03



中世末期英国の女性神秘家マージェリーによる『マージェリー・ケンプの書』は、口述筆記によるため3人称表記になってはいるものの、英語で書かれた最初の自叙伝であり、当時の一般市民の生活についての重要な資料でもある。しかし、整理された書物ではないので、原書は読みにくく、わかりにくい点も多い。これを久木田氏は、マージェリーに立ち代り、時間の流れに沿って、あるいはテーマ別に整理し、さらに中世カトリックの祝祭や典礼の実際、また、中世後期において民間の信仰の大きな要となった聖人伝やこれを視覚的に表現した宗教美術とをマージェリーの霊的成長と関連づけることで、彼女の「黙想の旅」を真正の神秘体験として見事に説明している。
32 (MISC)その他記事
単著
Hanna, Ralph, III, Pursuing History: Middle English Manuscripts and Their Texts, Stanford, CA: Stanford University Press, 1966

Studies in Medieval EnglishLanguage and Literature

No.14/ pp. 139-46
1999



Ralph Hannaは写本文献の校訂に関する世界的第一人者である。印刷技術の発明以前におけるテキストの伝播過程は流動的で、現代の印刷本なら当たり前の著作権の認識も非常に希薄であった。そうした中世の書物の生成過程における事実に立脚したHannaの写本校訂に関する理論は厳格である。彼の長年の研究成果をまとめた書物Pursuing Historyの書評を行った。
33 (MISC)その他記事
単著
Still Sleeping Pieces
田口まゆみ
日本中世英語英文学会ニュースレター

No.24/ pp. 9-10
1998



現存する中世古写本について所収作品の整理はすでにしつくされたという印象がある一方、かなりの数のマイナーな宗教散文が、未整理・未研究のまま残っている。そうした宗教散文が単独では価値が低い場合でも、当時流布していた作品には違いなく、人びとが共有していた思想や文化を知る手掛かりとなる。アングロ・フレンチ文献のさらなる研究も含め、小品群の研究が中世文学研究上、大きな鍵を握っていることを指摘した研究ノートである。
34 (MISC)その他記事
単著
『広き門』:煉獄がつなぐ天国への道――Takami Matsuda: Death and Purgatory in Middle English Didactic Poetry, D. S. Brewer, 1997

『英語青年 』

pp. 42-43
1998/05



煉獄は、地獄の恐怖をかざして民衆の教化を進めた中世キリスト教環境において、天国と地獄の緩衝地帯として登場した中世の発明である。現世での罪の深さに応じて煉獄への滞在年数が決まるが、これを残された者たちが代わりに軽減できると考えたため、死者のために捧げるミサや慈善事業が数量化されるようになった。これを起源から発展過程、その影響まで多くの資料に基づき論じた、慶応大学文学部教授松田隆美氏の著著の書評である。